夏目漱石は
絶筆となった『明暗』を書いている時に、芥川龍之介などに手紙を出しています。
その手紙に激漱石作の漢詩があり、「明暗双双三万字」とあります。三万字は漱石の創作によるものですが、表題は禅のことばです。

双双とは、
二つでひとつのものであり、くり返し訪れてくるということ。
明るさがあるからこそ暗さがあり、暗転と同じように明転もあるということです。
LOHASがテーマにする、
健康とサスティナビリティの中にも、この明暗双双の考え方は活かされます。
健康は、病があればこそ大事だと思い、病と健康のくり返しの中に生きています。
スローライフの暮らしの中にも良い時もあれば、悪い時もあります。
この悪い時が、良いことの前兆だと思うことが、じつは持続性を意識することにつながります。
健康に思える樹木にも、
一部には虫に喰われた葉もあり、秋に落葉して明暗を繰り返しながら生長しています。
住まいも、メンテナンスフリーの部品を駆使して長持ちさせることだけを考えては、サスティナブル住宅を完成させることはできません。
それはまるで、四季を感じさせない家に住んでいるようなものです。
時には傷がつき、時には不具合が発生した場所を、メンテナンスを繰り返しながら住み続けてゆくことが、まさにスローライフな生活になります。
その意味では、
無塗装のムク材は、少し扱いにくくてもスローライフの良い相棒になってくれます。
思い出しては油を塗りこんで磨き上げてゆく。面倒に思えることも、明転すれば楽しみになるのです。
おうちのはなしNo.321 Helth&Sanabilyより
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