荒れた大地に
最初に根を下ろす木々を「パイオニアウッド」と呼びます。
これは森林が再生していく過程で、最初にその土地に定着し、環境を整える重要な役割を担う樹木のことです。

代表的なものにカラマツがあります。
火山灰地や溶岩地などの過酷な環境にもいち早く根づき、落葉を通じてリター層を形成します。
このリター層は微生物によって分解され、やがて腐植土を含んだ土壌へと変わり、他の樹木や草本植物の定着を助けます。
こうして森の再生が始まるのです。
日本には古くから
植林の手法を教えてくれる「尾根松、谷杉、中檜」という言葉があります。
アカマツやクロマツは乾燥した尾根や岩場といった厳しい場所に生育しやすく、その適応力からもパイオニア的な性質を持つといえます。
現実にマツが山の尾根に生えている姿や、
海岸線の岩場に生えている風景を、日本人であれば瞼の裏に焼き付けているでしょう。
しかし常緑針葉樹であるマツは落葉せず、リター層が薄くなりがちなため、カラマツほどには土壌形成が進みにくい傾向があります。
つまりマツもパイオニアな樹木ではありますが、その役割には限界があります。
一方、スギやヒノキは
本来パイオニアとはされませんが、人為的に提乱された環境下、たとえば伐採跡地や植林地においては、最初に定着させることがあり、条件次第で先駆種的な役割を果たすこともあります。
その意味では、人工林とスギやヒノキの森はパイオニアとしての姿でもあるのです。
森は人と自然の関わりの中で
再び生まれ変わります。
こうしたパイオニアウッドの働きに目を向け、荒れた土地に再び命が育まれていく未来を、願いたいものです。
おうちのはなしNo.325 Helth&Sanabilyより
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